昨年10-12月期の実質国内総生産(GDP)改定値は、速報値から上方修正された。設備投資が上振れ、成長率はプラスに転じた。18、19日に開催される日本銀行の金融政策決定会合を前に2四半期連続のマイナス成長を回避した。
内閣府が11日発表した実質GDP改定値は前期比年率で0.4%増(市場予想1.1%増)、前期比では0.1%増(同0.3%増)と、速報値の0.4%減、0.1%減から上方修正された。GDP改定値に反映される法人企業統計の良好な結果を受け、設備投資は前期比2.0%増と速報値の0.1%減から引き上げられた。一方、個人消費は速報値(0.2%減)を下回る0.3%減だった。
市場で日銀が3月か4月の会合でマイナス金利解除に動くとの臆測が広がる中、経済が2期連続縮小するテクニカル・リセッション(景気後退)入りを免れた。改善幅は市場予想を下回ったが、日銀の判断への影響は限定的とし、市場の早期正常化の見方は引き続き根強い。ただ物価高を受けた個人消費の弱さは日本経済の重しとなっており、24年春闘における高水準の賃上げによる改善が期待される。
設備投資は17年ぶり高い伸び、GDP改定はプラス転換との見方も
みずほリサーチ&テクノロジーズの酒井才介主席エコノミストは、足元は実質賃金のマイナスが続き、消費も弱いなど実体経済は強くないが、「3月か4月のマイナス金利解除はほぼ既定路線で影響はない」と指摘。地震や自動車生産の一部停止で1-3月はマイナス成長とみられるが、日銀が重視する春闘の結果が良好なら、「4月期以降は個人消費が回復に向かうとの説明がしやすくなる」と語った。
日本最大の労働組合の全国組織である連合は、15日に春闘の第1回回答集計結果を発表する。業績好調な大手企業を中心に賃上げ機運が高まる中、加盟労組の賃上げ要求は4日時点で5.85%と、1994年以来30年ぶりに5%を上回った。2%の物価目標実現に向けて賃金と物価の好循環の確認作業を続けている日銀にとっては朗報だ。