金融庁はインパクト投資に関する指針の最終案を19日、発表した。社会や環境面での改善効果を狙う事業は、一般的に収益性が低いと思われることが少なくないが、効果と収益の両立は可能と強調した。
20日夕の検討会で議論し、3月末までに正式に決定する。最終案では、ビジネスモデルの変化や技術革新が進む中で、社会・環境の改善効果と事業の収益性は「さまざまな工夫の下で相互に補完・強化し、両立する関係に十分なり得る」との認識を示した。指針案の策定により、投資家や企業の対話を促し、世界と比べて小規模にとどまっているインパクト投資市場の拡大につなげたい考えだ。
金融庁が昨年まとめた報告書によると、2021年時点で日本の市場規模が5兆円との試算がある一方、グローバルでは最大1兆ドル(150兆円)とも言われている。
指針案では、インパクト投資の基本的要素として「実現を意図する社会・環境的効果が明確であること」や「投資の実施により効果の実現に貢献すること」などを列挙。改善効果に加えて収益性もおろそかにしない考えを示したが、どの程度の収益を目指すかは、それぞれの取り組みが尊重されるべきだとした。